まだ「理解」から始めてる?薬剤師国試の計算問題で点数を稼ぐ逆転勉強法
導入
「計算問題は苦手で、できれば避けたい…」 「対策が必要なのはわかっているけど、何から手をつければいいのかわからない…」
薬剤師国家試験を控える多くの受験生が、計算問題に対してこのような悩みを抱えています。しかし、もしその苦手意識が、勉強の「順番」を間違えているだけだとしたらどうでしょうか。
まず知っておいてほしい事実があります。
国家試験では、毎年15問から21問もの計算問題が出題され、合格者はそのうち最低でも6割(9〜12問)を正解しています。
つまり、計算問題は避けて通れない、むしろ合格のために確実に得点すべき重要な範囲なのです。
実は、計算問題には、点数を着実に積み上げるための「正しいやり方」が存在します。この記事では、多くの人が陥りがちな従来の勉強法の常識を覆し、最短で得点力を上げるための具体的な3つの攻略法を、専門コーチの視点から解説します。
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1. 「わかる」は最後。まず「慣れる」から始めよう
一般的な学習は「わかる→覚える→慣れる」の順番で進めるのが良いとされています。しかし、こと国家試験の計算問題においては、この順番が大きな落とし穴になります。
なぜ「わかる」から始めてはいけないのか?
計算問題の「理解」を突き詰めようとすると、公式がどのように導き出されるかという、微分・積分といった複雑な数学の世界に足を踏み入れることになります。しかし、公式の導出プロセスは国家試験では問われません。時間をかけて理解しても、それが直接点数に結びつくことはないのです。
点数を稼ぐための「逆転」学習法
計算問題で確実に点を取るために、学習の順番を次のように逆転させてください。
「慣れる → 覚える → わかる(解ける)」
まずやるべきは、公式の成り立ちを一旦脇に置き、とにかく問題を使って「慣れる」ことです。自分の手で公式に数字を当てはめ、答えを出す。この作業を繰り返すことで、計算プロセスそのものに身体を慣らしていくのです。
計算のおすすめの勉強法としては、まずはしっかりと計算に慣れることから始める。この意識を持って勉強を進めて欲しいと思います。
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2. 問題文に隠された「キーワード」を見つけるゲームだと思え
計算問題を解く上で、公式を覚えているだけでは不十分です。目の前の問題に対して、数ある公式の中から「どの公式を使えばよいか」を瞬時に判断する「判断力」こそが、得点の鍵を握ります。
では、どうすればその判断力を養えるのでしょうか。答えは、問題文の中に隠されています。
すべての計算問題には、使うべき公式と一対一で結びついた「キーワード」が必ず存在します。このキーワードを見つけ出す訓練が、計算対策の第一歩です。
具体的なキーワードの例
過去問を分析すると、科目ごとに特徴的なキーワードが見つかります。
- 物理 (反応速度論、pH計算など)
- 「0次反応」「弱酸のpH」「溶解度積」
- 「懸濁」→ 擬0次反応を疑う
- 「特殊酸」「特殊塩基」→ 擬1次反応を疑う
- 薬剤 (体内動態)
- 「繰り返し投与」
- 「点滴投与」(または「静脈内持続注入」「静脈内低速注入」)
- 実務
- 「NPC/N」を求める
- 「mEq」を求める
過去問を解く際は、ただ答えを出すだけでなく、「この問題文の、どの言葉があったから、この公式を使ったのか?」という視点で解説を読み解いてください。これを繰り返すことで、キーワードと公式の結びつきが自然と頭に入ってきます。
【応用テクニック】問題文を「翻訳」しながら解こう
キーワードを見つけたら、もう一歩進んだテクニックを試してみましょう。それは、問題文に出てくる数値の横に、対応する公式の記号(CL、Cssなど)を書き込んでいくことです。
例えば、「投与間隔を8時間とする」とあれば、「8時間」の横に「τ(タウ)」とメモする。こうして問題文を「数式に使うパーツ」に翻訳していくことで、値を代入する際のケアレスミスを劇的に減らすことができます。慣れないうちは特に有効な方法です。
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3. 計算は「頭」でなく「手」で鍛える「訓練」である
最後の秘訣は、計算を学問ではなく「訓練」と捉えることです。頭で理解するだけでなく、スポーツのように身体で覚える。そのための具体的な訓練法を紹介します。
得点力を上げるための4ステップ訓練法
- すぐ解説を見る
苦手な問題に直面したら、自力で解こうと悩む必要はありません。すぐに解説を読み、使うべき公式と、その選択の根拠となったキーワードを確認します。 - 数字を当てはめる
問題文から、公式に代入すべき数値を見つけ出し、式を組み立てます。(この時、前述の「翻訳」テクニックが役立ちます) - 自力で計算する
式が完成したら、ここから先は必ず自力で最後まで計算します。計算プロセスに慣れるための最も重要なステップです。 - もう一度、見ずに解く
答えが出たら、すぐに解説を閉じ、同じ問題をもう一度ゼロから解いてみましょう。公式を思い出し、計算を再現できるかを確認することで、記憶が定着します。
この訓練を繰り返したら、理想は3日後や1週間後など、少し時間を空けてもう一度同じ問題を解くことです。これは知識を短期記憶から長期記憶へ移すための重要なステップで、暗記科目と同じ原理です。
「自力での計算」における2つの鉄則
ステップ3の「自力で計算する」際には、必ず以下の2つのルールを守ってください。
- 紙にちゃんと書く
計算過程を必ず手で書き残しましょう。書くことでプロセスに慣れるだけでなく、これは自分専用の診断ツールになります。間違えた時に、どこでミスをしたのか(単位換算か、単純な四則演算かなど)をピンポイントで特定し、次の対策を立てることができます。 - 計算機を使わない
国家試験本番では電卓は使えません。普段の訓練から本番と同じ環境に身を置くことで、計算ミスを防ぎ、時間内に解ききる力を養うことができます。
この訓練は最初は時間がかかり大変ですが、確実に計算ミスを減らし、本番での得点力を高める最も確実な方法です。
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まとめ
計算問題攻略の近道は、「キーワードを知ること」です。
問題の文章や数値が変わっても、キーワードが同じなら使う公式は変わりません。つまり、キーワードと公式のセットを一つずつ身につけていけば、どんな応用問題にも対応できるようになるのです。
公式を覚えるのが苦手な方は、普段使うノートに付箋で貼ったり、トイレの壁にメモを貼ったりして、生活の中で自然と何度も目に入る環境を作ってみてください。
無意識に繰り返される情報は、脳が「重要だ」と判断し、長期記憶に残りやすくなります。
そして最後に、「1日1問は計算問題を解く」ことです。
毎日少しでも触れることで、本番で使える実践的な力を維持することができます。
計算問題の克服は、才能ではなく正しい訓練から始まります。あなたは今日、どの問題から訓練を始めますか?
この話しをもっと詳しく聞きたい場合はこちらをクリック→https://youtu.be/OZiwtEd1lNQ
