【速報】第111回薬剤師国家試験 合格発表(2026年)合格率68.49%・大学別分析・出願対比合格率

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2026年3月25日、厚生労働省より第111回薬剤師国家試験の合格発表が行われました。

#薬剤師国家試験

本記事では、厚生労働省が公表した公式データ(資料1〜3、参考資料1〜3)をもとに、合格率・合格基準・大学別結果・都道府県別データ・採点除外問題など、第111回薬剤師国家試験について、私なりに客観的に分析した結果をお届けします。

まずは合格された皆様、本当におめでとうございます。
残念ながら、今回合格に届かなかった方にも、データから見える第112回への具体的な道筋を示しますので、ぜひ最後までお読みください。

1. 合格基準と合格率 ― 数字で見る第111回の全体像

合格基準(厚生労働省 資料2より)

第111回の合格基準は、以下のすべてを満たした者です。

  • 全問題の得点が426点以上(配点は1問2点、686点満点)
  • 禁忌肢問題選択数は2問以下
  • 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上

全問題の合格ラインは686点満点中426点、すなわち得点率62.10%です。
第110回の合格ラインも同じ426点でしたが、満点が690点(345問×2点)だったため得点率は61.74%でした。
わずかな差ではありますが、第111回の方が若干高い得点率が求められた計算になります。

なお、第111回は問92・問199が採点対象から除外されたため、実質的な配点は686点満点(343問×2点)となっています。

合格率の概要(厚生労働省 資料1より)

区分出願者数受験者数合格者数合格率
全体14,261名12,774名8,749名68.49%
6年制新卒8,856名7,781名6,711名86.25%
6年制既卒5,257名4,871名2,013名41.33%
その他148名122名25名20.49%

全体合格率68.49%は、第110回(68.85%)とほぼ同水準で、直近5年間の安定した合格率の範囲内です。
合格者数は8,749名で、第110回の9,164名から415名減少しています。
これは受験者数自体が13,310名から12,774名へと536名減少したことが主因です。

注目すべきは新卒と既卒の合格率差です。
新卒86.25%に対し、既卒は41.33%と、その差は44.92ポイントに達しています。
この傾向は近年一貫しており、既卒での再挑戦がいかに困難であるかを数字が物語っています。

男女別合格率(厚生労働省 資料1より)

区分受験者数合格者数合格率
男性4,929名(38.59%)3,192名64.76%
女性7,845名(61.41%)5,557名70.83%

女性の合格率が男性を6.08ポイント上回っています。受験者の約6割を女性が占めるという薬学部の特性も反映されています。

2. 過去15年間の推移 ― 第111回の「立ち位置」を読む

厚生労働省の参考資料1(試験回次別合格者数の推移)から、第97回〜第111回までの推移を整理します。

合格率の推移(全体・新卒・既卒)

試験回全体合格率新卒合格率既卒合格率
第97回88.31%95.33%
第98回79.10%85.09%67.52%
第99回60.84%72.65%39.85%
第100回63.17%86.24%53.12%
第101回76.85%85.50%67.92%
第102回71.58%85.06%50.83%
第103回70.58%84.86%47.00%
第104回70.91%84.78%43.07%
第105回69.58%84.87%42.67%
第106回68.66%85.55%41.29%
第107回68.02%85.24%40.75%
第108回69.00%84.86%44.05%
第109回68.43%84.36%42.42%
第110回68.85%84.96%43.94%
第111回68.49%86.25%41.33%

この表から読み取れる重要なポイントは3つあります。

① 全体合格率は68〜70%で完全に安定期に入っている

第105回以降、全体合格率は68〜70%の非常に狭い範囲で推移しています。
第111回の68.49%もこの範囲内であり、厚生労働省が一定の合格者数を維持する方針で運用していることが読み取れます。

② 新卒合格率は第111回で過去7年間の最高値(86.25%)を記録

第104回〜第110回まで84〜85%台で推移していた新卒合格率が、第111回では86.25%に上昇しました。
これは第100回(86.24%)以来、実に11年ぶりの高水準です。

③ 既卒合格率は下降トレンドが継続

既卒合格率は第101回の67.92%をピークに低下し続け、近年は40〜44%台に定着しています。
第111回の41.33%は、直近5年で2番目に低い数値です。

3. 設置主体別・大学別の合格率 ― 大学間格差の実態

設置主体別合格率(厚生労働省 資料1より)

設置主体受験者数合格者数合格率
国立607名482名79.41%
公立404名335名82.92%
私立11,762名7,931名67.43%

公立大学が最も高い合格率(82.92%)を記録し、私立大学(67.43%)との差は15.49ポイントです。
ただし受験者数の約92%を私立大学が占めるため、全体合格率への影響は私立の動向に大きく左右されます。

新卒合格率の大学別データ ― 注目すべき結果(厚生労働省 参考資料3より)

厚生労働省が公表した大学別合格者数のデータから、新卒合格率を見ていきます。
まず新卒合格率の上位校を確認した後、出願対比合格率による分析では新卒合格率85%以上(全体平均86.25%とほぼ同水準)を基準に取り上げます。

なお、新卒合格率は「受験者に対する合格者の割合」であり、出願したものの受験に至らなかった学生は含まれない点に注意が必要です(詳しくは後述の「出願対比合格率」で分析します)。

新卒合格率100%を達成した大学(3校):

  • 東北大学(新卒20名中20名合格)
  • 京都大学(新卒15名中15名合格)
  • 九州医療科学大学(新卒30名中30名合格)

このほか、新卒合格率90%以上を達成した大学は上記3校を含めて国公私立合わせて29校85%以上では39校に上ります。全校のリストは厚生労働省の参考資料3で確認できます。

「新卒合格率」だけでは見えない真実 ― 出願対比合格率と既卒の蓄積

ここからが本記事で最も重要な分析です。
新卒合格率は「受験した人のうち何人受かったか」を示す数字ですが、その前段階として「そもそも何人が受験できたのか」を見なければ、大学の教育成果は正しく評価できません。

薬学部6年生として国家試験に出願しながら、実際には受験していない学生が多数いる大学があります。この差は主に卒業試験や進級判定による卒業延期(いわゆる「卒試落ち」)によるものと考えられます。

新卒の「出願→受験」乖離に注目する

厚生労働省の参考資料3には、各大学の新卒「出願者数」と「受験者数」が掲載されています。
この2つの数字の差は、主に卒業試験や進級判定などにより国試受験に至らなかった学生の規模を示すと考えられます。

第111回のデータを見ると、新卒の出願者に対する受験率が50%を下回る大学が複数存在します。
たとえば、ある大学では出願64名に対し受験者がわずか27名(受験率42.2%)、別の大学では出願96名に対し受験46名(受験率47.9%)というケースがありました。

これらの大学の新卒合格率は80〜100%台と高い数値が出ていますが、出願者ベースで計算すると合格率は35〜55%程度にとどまります。
新卒合格率だけでは、大学の教育成果を正確に判断することはできません。
大学選びの際には、「出願者のうち何人が実際に受験できているか」という視点を持っておくことをお勧めします。

「出願対比合格率」で見る大学の教育力

「新卒合格者数÷新卒出願者数」で算出する出願対比合格率は、6年生として出願した学生のうち実際に薬剤師になれた割合を示します。大学の教育成果をより正確に評価できる指標として用います。

以下は、独自の基準として、「新卒合格率85%以上」かつ「新卒受験者100名以上」の条件を満たす大学を、出願対比合格率の高い順に並べたものです。
※85%は新卒合格率の全体平均(86.25%)とほぼ同水準であり、平均的な実力を持つ大学まで含めて比較できます。
※受験者100名以上としたのは、少人数の大学では1〜2名の差で合格率が大きく変動するため、一定規模の大学同士で比較する方が意味があるからです。

大学名設置新卒出願新卒受験新卒合格新卒合格率出願対比合格率
岐阜薬科大学公立102名102名95名93.14%93.14%
国際医療福祉大学私立146名146名135名92.47%92.47%
山陽小野田市立山口東京理科大学公立106名105名98名93.33%92.45%
北里大学私立245名241名213名88.38%86.94%
京都薬科大学私立349名337名302名89.61%86.53%
崇城大学私立115名106名97名91.51%84.35%
昭和医科大学私立171名168名144名85.71%84.21%
福岡大学私立208名185名175名94.59%84.13%
名城大学私立250名218名210名96.33%84.00%
近畿大学私立143名129名120名93.02%83.92%
東京薬科大学私立388名352名323名91.76%83.25%
星薬科大学私立252名229名208名90.83%82.54%
大阪医科薬科大学私立256名219名210名95.89%82.03%
明治薬科大学私立290名242名226名93.39%77.93%
愛知学院大学私立123名109名95名87.16%77.24%
帝京大学私立224名189名164名86.77%73.21%
武庫川女子大学私立127名100名91名91.00%71.65%

このテーブルから読み取れることは明確です。
新卒合格率が85%以上と高い水準にある17校の中でも、出願対比合格率には93%から71%まで21ポイント以上の開きがあります。
新卒合格率だけを見ると同じような水準に見える大学でも、出願した6年生全体のうち薬剤師になれた割合には大きな差があるということです。

岐阜薬科大学・国際医療福祉大学・山陽小野田市立山口東京理科大学は、出願者のほぼ全員が受験し、かつ合格率も90%超を達成しています。
また、北里大学(出願245名)や京都薬科大学(出願349名)は大規模校でありながら出願対比合格率も86%超を維持しており、規模と質を高い水準で両立しています。

なお、今回の基準(受験者100名以上)には該当しませんが、2020年に薬学部を開設した国際医療福祉大学福岡薬学部(新卒合格率93.15%、出願対比93.15%)と岐阜医療科学大学(同94.00%、出願対比73.44%)は、第111回が初の卒業生です。
既卒受験者が存在しないため上記テーブルとの単純比較はできませんが、初年度としての成果は注目に値します。教育力の評価は今後の推移を見る必要があります。

既卒受験者の蓄積にも注目を

もう一つ、大学選びの際に確認したいのが既卒受験者数と新卒受験者数の比率です。既卒受験者が新卒を大幅に上回っている大学は、過去の卒業生が合格に至らず蓄積していることを意味します。

第111回のデータでは、既卒受験者が新卒受験者の2倍を超える大学が8校、4倍を超える大学も3校存在しました。これらの大学の既卒合格率は20〜35%台にとどまっています。

既卒受験者が多い背景には、卒業後も薬剤師を目指して努力を続けている方が大勢いるという事実があります。
しかし、既卒合格率が20〜35%台にとどまる現実は、「同じ勉強法を繰り返しても結果が変わりにくい」ことを示しており、学習環境や方法の見直しが合格への鍵となります。

各大学の具体的な出願者数・受験者数・既卒受験者数は、厚生労働省が公表している参考資料3(大学別合格者数)で確認できます。

薬学部の「淘汰」が始まっている ― 募集停止大学の国試結果

上記の分析を踏まえると、薬学部を取り巻く環境の変化がいかに大きいかがわかります。実際に、薬学部の新入生募集停止を決定した大学がすでに3校出ています。

姫路獨協大学(2025年度から募集停止・全国初)
新卒合格率23.08%(13名中3名)、総数合格率22.32%。既卒受験者99名に対し既卒合格率22.22%。

医療創生大学(2026年度から募集停止・2校目)
新卒合格率76.47%(34名中26名)、総数合格率70.59%。出願対比合格率は65.00%。

城西国際大学(2027年度から募集停止・3校目、2026年3月17日発表)
新卒合格率88.89%と一見高いものの、出願対比合格率は37.50%。既卒受験者は新卒の4.6倍が蓄積し、既卒合格率は34.96%。

少子化の影響で薬学部の定員充足が難しくなる中、2025年度から3年連続で募集停止校が出ています。各大学が教育の質向上に取り組む一方で、受験生やその保護者の側でも、大学選びの段階から新卒合格率だけでなく「出願者数と受験者数の差」「既卒受験者の規模」「総数合格率」を合わせて確認することが大切です。

4. 都道府県別合格者数 ― 合格者の地域分布(厚生労働省 参考資料2より)

都道府県別の合格者数は、合格証書の送付先に基づくデータです。合格者数上位10都道府県と地域別の分布を見ていきます。

合格者数 上位10都道府県

順位都道府県合格者数
1東京都983名
2大阪府764名
3神奈川県625名
4埼玉県565名
5千葉県528名
6愛知県485名
7兵庫県472名
8福岡県382名
9北海道334名
10広島県247名

上位10都道府県だけで合格者全体の約6割を占めており、薬学部が集中する大都市圏に合格者が偏在していることがわかります。
一方、最も合格者数が少ないのは島根県(30名)、鳥取県(35名)、秋田県(40名)の順でした。

地域別合格者数

地域合格者数構成比
関東(1都6県)3,135名35.8%
近畿(2府5県)1,858名21.2%
中部(9県)1,219名13.9%
九州・沖縄(8県)939名10.7%
北海道・東北(1道6県)834名9.5%
中国(5県)513名5.9%
四国(4県)251名2.9%

関東と近畿だけで合格者全体の57.0%を占めています。地方における薬剤師不足が叫ばれる中、合格者の地域偏在は依然として顕著です。

5. 採点上の特別措置 ― 問92・問199は採点除外、問287は複数正解

第111回では、3問について採点上の特別措置が取られました(厚生労働省 資料3より)。

採点対象から除外された問題

問92(1日目② 一般問題・薬学理論問題)

  • 理由:設問が不明確で正解が得られないため
  • 内容:化学反応の平衡に関する問題で、「標準反応エンタルピー(ΔrH⁰)」とすべきところが「標準生成エンタルピー(ΔfH⁰)」と誤記されていた

問199(2日目① 一般問題・薬学実践問題)

  • 理由:設問が不明確で正解が得られないため
  • 内容:OROS製剤の浸透圧計算問題で、Na2SO4水溶液の濃度単位が「mmol/L」とすべきところ「mol/L」と誤っていた

複数正解として採点された問題

問287(2日目③ 一般問題・薬学実践問題)

  • 理由:複数の正解があるため
  • 内容:脳梗塞急性期の治療薬を問う問題で、選択肢1(アルテプラーゼ)・2(エダラボン)・3(オザグレルナトリウム)のいずれか2つを選択すれば正解

過去の国家試験でも採点除外や複数正解の措置は珍しくありませんが、1回の試験で2問が除外されるのは受験生にとってはやや多い印象です。
結果的に満点は686点(343問×2点)で計算されています。

6. 第111回の結果から見える「国試の方向性」と第112回への示唆

本日発表された公式データから、薬剤師国家試験が向かう方向性と、第112回受験生が押さえておくべきポイントを整理します。

データが示す3つのメッセージ

① 新卒86.25% vs 既卒41.33% ― この差が意味すること

新卒合格率86.25%は過去11年で最高値であり、しっかり準備して臨んだ新卒受験生にとっては「報われる試験」だったと言えます。
一方、既卒合格率41.33%は直近5年で2番目に低く既卒での再挑戦がいかに困難であるかを改めて浮き彫りにしました。

既卒で再挑戦する方にとって最も重要なのは、「もう1年同じやり方を繰り返す」のではなく、学習方法・学習環境そのものを変える決断をすることです。

② 出願対比合格率が可視化した「卒業延期」の規模

セクション3で分析したとおり、新卒合格率が85%以上であっても出願対比合格率は71〜93%まで大きく開いています。
出願した6年生のうち、受験すらできなかった学生が相当数いる大学が存在するという事実は、大学選びだけでなく、在学中の学習計画にとっても重要な示唆を与えます。

6年生になってから慌てるのではなく、低学年のうちから基礎を固め、卒業試験・国家試験の両方に対応できる学力を積み上げていくことが、ストレート合格への最短ルートです。

③ 合格ライン426点(得点率62.10%)― 「取れる問題を確実に」の重要性

合格ラインが得点率62%台に設定されたことは、全問正解を目指す必要はなく、基礎的な問題を取りこぼさないことが合否を分けるということを意味しています。

第112回に向けて ― 詳しい分析と具体的戦略

第111回の出題傾向(計算・図表問題の増加、臨床判断力の重視、問題文の長文化など)を踏まえた科目別の詳しい分析と、第112回に向けた具体的な学習戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。

7. おわりに ― 合格された方へ、そしてこれからの方へ

第111回薬剤師国家試験に合格された8,749名の皆様、心よりおめでとうございます。
ここからが薬剤師としてのスタートです。
国家試験で培った知識を、目の前の患者さんのために活かしてください。

今回、残念ながら合格に届かなかった方へ。
41.33%という既卒合格率は厳しい数字ですが、裏を返せば5人に2人は合格しているということでもあります。
大切なのは、同じやり方を繰り返さないこと
正しい方向に努力を向ければ、必ず道は開けます
その第一歩として、本記事のデータが少しでもお役に立てれば幸いです。


出典

  • 厚生労働省「第111回薬剤師国家試験の結果について」(資料1)、令和8年3月25日
  • 厚生労働省「第111回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(資料2)、令和8年3月25日
  • 厚生労働省「第111回薬剤師国家試験の採点にあたって考慮した問題について」(資料3)、令和8年3月25日
  • 厚生労働省「試験回次別合格者数の推移」(参考資料1)、令和8年3月25日
  • 厚生労働省「第111回薬剤師国家試験 都道府県別合格者数」(参考資料2)、令和8年3月25日
  • 厚生労働省「大学別合格者数」(参考資料3)、令和8年3月25日

この記事の著者

田原 靖弘

【行政書士】
18年間警察官として勤務し、当時、最年少知能犯係長、捜査第二課係長として詐欺や横領、補助金不正といった経済犯罪の捜査を専門に担当。
告訴・告発事件処理では、警察庁表彰の実績も持つ。

現在は、株式会社Medisere取締役と行政書士事務所代表を兼務。

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