薬学部低学年に効果的な勉強方法と計画と効率的な進め方 | メディセレメディア

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薬学部低学年に効果的な勉強方法と計画と効率的な進め方

薬学部の低学年の学生が、短い時間の中でしっかりと基礎を固め、その後の専門的な学びへスムーズに進めるようにするための道しるべを示します。この記事では、まず現状を整理し、学習の目標を決めることから始めます。そのうえで、基礎科目の優先順位をつけ、実際に使える学習スケジュールを作る流れを順を追って説明します。さらに、主体的に取り組む学び方や繰り返しの工夫、時間管理のツールを使った効率的な勉強法も紹介します。あわせて、進み具合を確認する方法や振り返りの仕方、計画を柔軟に見直す工夫、長い目で学びをとらえる姿勢についても取り上げます。こうした工夫によって、たとえ環境に波があっても自分のペースを守りながら着実に成長していける具体的な手順を伝えます。この記事を読むことで、日々の勉強を整理し、短期・中期の目標を一歩ずつ達成していく方法を学び、薬学の土台をしっかり築くことができるでしょう。

薬学部低学年の基礎固めと学習計画

薬学部の低学年は、専門知識の土台をつくる大切な時期です。大学生としての学びの習慣を身につけ、専門科目へ無理なく進めるようにするには、自分をよく振り返りながら計画を立てていくことが必要です。この章では、まず自分が今どこまで理解できているか、そしてどこを目指すのかをはっきりさせる方法を説明します。そのうえで、基礎科目の優先度を考え、実際に使える学習スケジュールの立て方を紹介します。さらに、短い期間での勉強習慣と、長い目で見たキャリアの考え方を結びつけることで、勉強の「量」と「質」をどちらも高めていくことができます。

学習目標の設定と現状分析

効果的に勉強を進めるためには、まず「目標を決めること」と「今の自分を分析すること」から始めます。最初に、スマートな目標を立てましょう。目標には次のような要素を入れます。

1. 学ぶ範囲(例:有機化学の官能基の反応を20個おぼえる)
2. どのレベルまで到達するか(例:期末試験で再試験を0にする)
3. 達成までの期限(期末試験に間に合わせる)
4. 学習の進み具合を測る方法(毎週の理解度チェックや月のお試し問題に挑戦する)

現状分析では、自分の得意分野と苦手分野をはっきりさせます。そのために、過去の試験問題、講義のノートを整理し、なぜ苦手なのか原因を探します。原因は「知識がバラバラ」「関連づけが不足」「演習不足」「時間管理の問題」など、いろいろ考えられます。この分析をもとに、短期と長期の学習計画を立て、改善の工夫も一緒に考えます。

実践のコツは、目標を紙に書き出して毎週見直すことです。小さなゴールを設定して、達成したら自分にご褒美をあげると続けやすくなります。また、自分だけの評価に頼らず、同級生との相互チェックや先生からのフィードバックを受けると、より客観的に自分を見直せます。さらに、模試の正答率、科目ごとの弱点、勉強時間の使い方をグラフにすると、改善の方向が見やすくなります。

基礎科目の優先度と学習スケジュール作成

薬学部の基礎科目は、後の専門科目の理解を支える中核です。優先度を決める際は、学問的な関係と自分の現状の理解度を両方考慮します。たとえば、有機化学・無機化学・分析化学・生物化学・生理学のような基盤科目は、高学年の専門分野にも直結するため高い優先度を設定します。一方で、講義頻度が低く、国家試験対策としては補完可能な科目は二次的な扱いとするのが現実的です。

具体的な学習スケジュールの組み方のポイントは次のとおりです。

1) 週ごとに「深掘り日」と「復習日」を明確化する
2) 1日あたりの学習時間を固定化し、波を作らず一定リズムで取り組む
3) 演習問題と概念整理をバランス良く混ぜる
4) 過去問・模試の比率を適切に設けて理解度を測る
5) 休憩と睡眠を優先して脳のパフォーマンスを最大化する

更に具体的なのスケジュール例は、後日紹介しますが、以下のような計画が有効です。月〜金は基礎科目の確認と課題抽出。土曜は課題の整理と深掘り学習。日曜は休息と軽いリマインドです。大切なのは、「何もしない日を作らない」ことです。それはきつい!と思うかもしれませんが、「何もしない日」は「次の何もしない日」を生みます。1日1時間でもいいので、何かしましょう。

効率的な学習法と進め方

薬学部の低学年で重要なのは、限られた時間を最大限に活用し、知識の定着と臨床的結びつきを同時に進める学習法を確立することです。ここではアクティブな学習を中心に据え、反復設計とツール活用、時間管理のコツを具体的に解説します。初期段階での効果的な学習習慣は、後の専門科目や臨床実習での応用力につながります。

じゃあ、具体的にどうするの?ってなるかもしれません。その方法も、今後紹介していきます。

アクティブな学習法と反復の設計

薬学部の基礎科目は膨大な用語と概念が絡み合います。受動的な読み流しではやがて知識の断片化が生じるため、アクティブな学習設計を取り入れましょう。具体的には以下の手順です。まず「理解の確認」を最優先に、1日15〜30分程度の短時間で今日覚えるべきことリストを自作します。次に「結びつけの強化」です。新しい概念を既知の事例や他科目の知識と結びつけ、マインドマップや概念図を作成します。さらに「反復のリズム」を組み込みます。作成したリストを、隙間時間に思い出せるか、説明できるかを頭の中で繰り返します。反復には「自分が説明できるか」を指標にすると効果的です。「説明できなかったこと」「覚えられなかったこと」を、再学習のリストに入れておき、週末や夜など時間のある時に改めて学びます。

効率化ツールと時間管理のポイント

効率的な学習を実現するには、ツールの選択と時間管理が鍵を握ります。まずは「計画と振り返りをセットで運用する」スタイルを推奨します。学習計画は1週間単位で作成し、毎日の終わりに短い振り返りを行います。ツールとしては以下の組み合わせが実用的です。

– 要点ノートアプリ(例えばノート機能付きのデジタルノート)で講義ノートを要約・図解化。
– フラッシュカード(復習用の自作カード、Ankiなど)を活用し、反復のリズムを自動化。
– タスク管理アプリ(ToDoリスト)で「今日の3つの最重要タスク」「今週の学習目標」を明確化。
– ポモドーロ・テクニックを基本の時間管理として導入。25分作業+5分休憩を1サイクルとし、4サイクル後に長い休憩を挟みます。これにより集中力のピークを保ちつつ、疲労を蓄積させません。

この記事の著者

安原智久

株式会社Medisere講師(化学・物理)
メディセレ薬局薬剤師
薬学教育研究・アクティブラーニング専門家
元薬学部教授
【学歴・学位】
京都大学薬学部薬学科卒業
博士(薬学)(京都大学)
【専門分野・研究領域】
薬学教育学:チーム基盤型学習(TBL)、問題解決型学習(PBL)
教育工学:ピア評価、アクティブラーニング手法開発
初年次教育:化学教育の層別最適化、学習成果測定
分野横断型教育:統合型薬学教育プログラム開発
有機化学:創薬科学、生物活性化合物の合成研究
【研究業績の特徴】
教育手法革新、学習成果測定、継続的改善にる60本以上の論文の豊富な研究実績

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