薬学部の実務実習とは?内容や期間、取り組む際の注意点を詳しく紹介

薬学部の5年次では、病院と薬局での実務実習が行われます。実務実習は、薬剤師の業務を体験し、知識や技能を実践的に身につけるための貴重な機会です。本記事では、実務実習の概要や内容、取り組む際の注意点について解説します。これから実務実習を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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薬学部の実務実習とは
薬学部の実務実習は、病院や薬局での業務体験を通して、薬剤師として必要な知識や技能、態度を身につけるための実習です。ここでは、実務実習の指導員や対象などについて解説します。
実務実習の指導員
実務実習の指導員は、実習施設の業務責任者である薬剤部長や薬局管理者などの「責任薬剤師」と、薬学教育協議会認定の「認定指導薬剤師」が中心となって務めます。認定指導薬剤師は、施設内の薬剤師全体や他のスタッフとの連携を調整し、適切な指導が行われるように体制を整えます。
実務実習の対象
実務実習は、5年次に病院と薬局でそれぞれ行われます。実務実習に参加するには、4年次の終わりに行われる薬学共用試験「CBT」と「OSCE」に合格し、校内での5週間以上の実務実習事前学習を終えることが条件とされています。
実務実習の内容
実務実習の内容は病院と薬局で異なります。それぞれの内容と実習期間について紹介するので、実習前の参考にしてください。
病院実習の内容と実習期間
病院実習では、主に入院患者や外来患者への対応を通して、医療現場での薬剤師業務を体験します。「薬学実務実習に関するガイドライン」に示された実習例を紹介します。
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実習内容 |
実習期間 |
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病院実習導入 |
1週間 |
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内服、外用薬調剤 |
1週間 |
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注射薬調剤・無菌調製 |
1週間 |
病棟業務実践(チーム医療や急性期医療含む) がん化学療法(レジメンチェック、抗がん剤調製) | 6~9週間 学生は、病棟業務実践の期間に計画的にベッドサイドに行く。また、がん化学療法は、病棟業務実践の一部として実習する。 |
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DI、TDM、医薬品管理室 | 2週間 集中的にそれぞれの部門毎の実習をする、または病棟業務実践の一部として実習する。 |
薬局実習の内容と実習期間
薬局実習では、地域の薬局で患者対応や調剤補助などを行います。ガイドラインに示された実習例は以下のとおりです。
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実習内容 |
実習期間 |
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薬局実習導入 |
1週間 |
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保険調剤(調剤、監査、疑義照会、基本的な投薬) |
3~4週間 |
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薬物治療モニタリング・情報提供(処方解析、薬歴活用、服薬指導、健康相談) | 5~6週間 薬局での薬物治療モニタリングは、患者来局時に合わせて実施する。 薬局での薬物治療モニタリング・情報提供では、院外処方せんによる外来患者だけでなく、在宅療養患者や健康相談者など、幅広く多くの事例を体験する。 |
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地域貢献の実践(セルフメディケーション、在宅支援、地域保健活動) | 2~3週間 薬局での地域貢献の実践では、OTC販売や在宅支援、地域包括ケアシステムへの参画、学校薬剤師や災害対策など、地域保健や医療、福祉に関与する多くの事例を実際に体験する。 |
実習に取り組む際の注意点
実習に取り組む際は、以下の3点に注意して臨みましょう。
- 実習前に基本的な知識を復習しておく
- 身だしなみに気を付ける
- マナーを意識して接する
実習前に基本的な知識を復習しておく
実務実習では、基礎的な知識を問われる場面が多くあります。薬理や薬剤、病態に関する基本的な知識を事前に復習しておくことで、実習をスムーズに進められます。
身だしなみに気を付ける
医療現場の実習では、実際に患者と接する機会があります。身だしなみに気を付けて、清潔感のある服装や髪型、ネイルやアクセサリーなどを心がけましょう。
マナーを意識して接する
実務実習中は、医療スタッフや患者に対する礼儀やマナーを意識しましょう。時間厳守や丁寧な言葉遣い、こまめに報告や連絡を行うなどを心がけることが大切です。
実務実習で多くのことを学びましょう
実務実習は、病院や薬局での業務を学べる貴重な機会です。病院や薬局での経験を通して、薬剤師に必要な知識や技能、コミュニケーション能力を身につけられるでしょう。
