薬剤師国家試験の模試、受けっぱなしは損!合否を分ける意外な活用法5選
薬剤師国家試験の勉強、本当にお疲れ様です。多くの受験生が、模試を受けて点数に一喜一憂し、「ああ、できなかった…」で終わらせてしまいがちです。しかし、それではあまりにもったいない!
実は、模試は単なる実力測定ツールではありません。正しい活用法を知れば、あなたの弱点をピンポイントで補強し、本番の得点力を飛躍的に高める「最強の学習ツール」に変わります。
この記事では、多くの受験生が見落としがちな、合否を分ける模試の意外な活用法を5つ、具体的にお伝えします。この記事を読めば、次の模試がこれまでとは全く違う、価値あるものになるはずです。
まず、心に刻んでほしいのはこの言葉です。
模試は国試のように、国試は模試のように
この意識が、すべての基本になります。
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1. 「本番」は試験前日から始まっている
模試の価値は、問題を解くことだけではありません。本番さながらの状況をどれだけリアルにシミュレーションできるかにかかっています。ここでは、心の準備(目標設定)、戦略的な準備(時間配分)、物理的な準備(環境再現)、そして直前の学習計画という、本番力を鍛えるための具体的なアプローチを紹介します。
- 目標設定
まずは具体的な目標点数を設定することから始めましょう。例えば、メディセレでは10月と12月の模試で以下の点数を目安にしています。- 10月模試: 180〜190点
- 12月模試: 200〜210点
明確なゴールがあることで、模試への向き合い方が変わります。
- 時間配分と解く順番の計画
特に物理・化学・生物などが含まれる「理論」科目は、難しい問題に時間を取られて最後まで解ききれない、ということがよく起こります。そうならないために、事前に時間配分と解く順番を決めておきましょう。
ちなみにある講師は、「後ろから解く(法規→衛生→生物→化学→物理)」という戦略を実践していました。これには2つの理由があります。- 難しい基礎科目から手をつけて、最初にテンションを下げたくなかったから。
- 読み飛ばしが怖い「法規」を、まだ集中力が高いうちに確実に解きたかったから。自分に合った順番を見つけるために、模試で色々と試してみてください。
- 本番と全く同じ環境の再現
「模試は国試のように」を徹底しましょう。筆記用具はもちろん、昼食も本番を想定して、コンビニのおにぎりやパンなど、温かくないものに慣れておくことが重要です。休憩時間にサッと見直す教材も事前に決めておきましょう。自宅受験の場合は、机の上には何もない状態を作り、本番の雰囲気に近づけることが大切です。 - 前日・当日の学習計画を立てる
「模試直前はソワソワして勉強が手につかない…」という経験はありませんか?事前に「何を勉強するか」を決めておけば、迷わずスムーズに最後の追い込みを始められます。 例えば、ある講師は、前日には苦手だった薬理や薬剤を、1日目の夜には実践問題で出やすい下毒薬や特定健康審査などを中心に復習する、と決めていました。
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2. 解きながら「自信度」を仕分ける自己採点術
試験中に一手間加えるだけで、復習の効率が劇的に変わるテクニックがあります。それは、問題を解きながら自分の手応えを「丸・三角・バツ」の印で可視化することです。
- 丸(◯): 「これは絶対に正解だ」または「おそらく正解だろう」と自信を持って解答できた問題。
- 三角(△): 2択まで絞れたけれど、最後の1つを決めきれなかった問題。あるいは、いつも迷ってしまう論点の問題。
- バツ(×): 解き方が全く分からない、または初めて見る問題。
この仕分け作業は、ただ問題を解きっぱなしにするのを防ぎ、試験後の復習を「戦略的」に行うための非常に重要な下準備となります。
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3. 最優先で復習すべきは「自信があったのに間違えた問題」
自己採点を終えたら、どこから手をつけるか。ここで合否が分かれます。点数が低かった問題から闇雲に復習するのではなく、最も効果的な順番で取り組む必要があります。先ほどの「丸・三角・バツ」を使い、以下の優先順位で復習を進めましょう。
- 最優先: 丸をつけたのに間違えた問題
これが最も危険なポイントです。自分では「理解しているつもり」だったのに、実際は間違っている。これはあなたの「認識の勘違い」が潜んでいる証拠です。ここを見逃すと、本番でも同じミスを繰り返す可能性が非常に高いです。 - 次: 三角をつけて正解した問題
これは「あやふやな知識」で、たまたま正解できたに過ぎません。放置すれば、次は間違えるかもしれません。この機会に知識を確実なものに定着させましょう。 - その次: 三角をつけて間違えた問題
ここはあなたの「伸びしろ」です。あと一歩で正解できた問題なので、復習すればすぐに点数に繋がります。 - 最後: バツをつけた問題
解き方が全く分からなかった問題は、時間がなければ後回しでも構いません。成績表(カルテ)が返却された後、全体の正答率を見てから取り組むか判断しても十分間に合います。
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4. 知識を「参考書」に一元化し、血肉に変える
模試の復習で得た知識は、その場限りで終わらせては意味がありません。普段使っている教材に情報を集約し、いつでも見返せる状態にすることが重要です。
- 参考書への書き込み
模試で問われた論点や、新しく学んだ知識を、普段使っている参考書の該当箇所にチェックを入れたり、付箋に要点をまとめて貼り付けたりしましょう。これにより、情報が分散せず、知識の一元管理が可能になります。 - 見直しノートの作成
あやふやだった選択肢のポイントや、覚えにくい計算式などを、自分だけの「見直しノート」にまとめるのも非常に効果的です。例えば私は、混同しがちだった脳の部位を色分けして整理したり、「デシプラミンがイミプラミンの活性代謝物である」という、よく間違えていた知識をまとめたりしていました。 そして、ここで最も大切なことがあります。 - ノートは「作る」ことが目的ではありません。
「繰り返し見直す」ことで初めて記憶として定着します。私はこのノートをGoogleドライブに保存し、スマホでいつでもどこでも見返せるようにしていました。
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5. 「すべての模試」を完璧にする必要はない
「これまで受けた模試、全部復習し直した方がいいのかな…」と不安になる人もいるかもしれません。しかし、安心してください。
今までに受けた模試は、正直なところ、すべてをやり直さなくても大丈夫です。
過去の模試の役割は、あくまで「その時点での到達度や苦手箇所を確認するため」でした。これからは、より戦略的に復習を進めましょう。成績表(カルテ)が返ってきたら、「正答率」に注目してください。
- 優先事項1: 正答率60%以上で自分が間違えた問題
- 優先事項2: 正答率50%以上で自分が間違えた問題
これらの問題は、多くの受験生が正解している、いわば「落とせない問題」です。国家試験本番で合否を分けるのは、まさにこのレベルの問題です。ここを確実に解けるようにすることが、合格への最短ルートです。
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よくある質問:一歩進んだ復習のコツ
最後に、さらに模試を有効活用するための、一歩進んだコツを2つお伝えします。
- 模試直前の休憩時間は何をすべき?
休み時間には、新しいことを覚えようとしないでください。
それよりも、これまで学んだ「知識の確認」を最優先しましょう。
「エポキシドに代謝されるのは何だったかな?」と思い出すような、軽い確認作業が効果的です。 - 効果的な直し方とは?
解説を読むだけでなく、もう一工夫してみましょう。間違えた選択肢(バツの文章)に対して、「どこを直せば正しい文章(丸)になるか」を考える癖をつけてください。
この「誤文訂正」のトレーニングが、知識の正確性を格段に高めます。
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まとめ
模試の最大の目的は、点数に一喜一憂することではありません。自分の「得意・不得意を見つけて、今後の学習を効率化させること」です。
今回ご紹介した活用法を実践すれば、模試はあなたにとって最高の戦略的ツールに変わります。
「模試は国試のように、国試は模試のように」
この言葉を胸に、次の模試に臨んでみてください。さて、あなたはこの中のどの戦略から実践しますか?
もっと詳しい話が聞きたいという方は、こちらで詳しくお話ししています。→https://youtu.be/k32sp30RTiE

