薬剤師国家試験【化学】徹底攻略ガイド
第111回薬剤師国家試験の傾向と、メディセレ自己採点システムの結果をもとに、第112回で化学の得点を伸ばすための対策をまとめました。
化学は、王道テーマを確実に得点する力が重要な科目です。
その一方で、近年は単純暗記では対応できない問題や、医薬品の構造・作用・代謝を横断的に問う問題も増えています。
この記事では、第111回の出題傾向をふまえて、第112回に向けた勉強方針を整理していきます。
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第111回薬剤師国家試験 化学の平均点
メディセレ自己採点システム(2026年3月25日時点)による平均点は以下の通りです。
| 必須問題(5問) | 一般:理論問題(10問) | 一般:実践問題(5問) |
| 3.4点 | 3.5点 | 1.5点 |
第111回、どんな問題が出たの?
必須問題
一酸化窒素のルイス構造、E配置の化合物、芳香族性、クマリン骨格など、王道テーマが中心で、比較的解答しやすい内容でした。
一方で、問6「ベシル酸(ベンゼンスルホン酸)の構造」は初出題であり、多くの受験生にとって未学習だったと考えられます。
一般:理論問題
例年より難易度が高く、幅広い知識に加えて、各テーマの深い理解を必要とする問題が多数出題されました。
特に、以下のような問題が印象的です。
- 問101「インドールの求電子置換反応の配向性(3位)」
- 問102「紛らわしい選択肢が並ぶ高難度問題」
- 問106「レニン阻害薬アリスキレンの構造をもとに、医薬品と標的分子の相互作用まで問う問題」
- 問110「生薬末の顕微鏡写真から生薬を特定する問題」
このように、単なる知識確認にとどまらず、反応性・構造理解・他科目との関連まで問う問題が増えていました。
一般:実践問題
5問中3問が正答率30%未満と、例年と比べてもかなり難易度が高い内容でした。
平均点は1.5点(5点満点)にとどまり、過去問をただ解くだけでは対応しにくい、応用力重視の出題が目立ちました。医薬品の基本骨格や作用機序の暗記だけでなく、有機反応への応用力、衛生や薬剤など他科目との知識の連携まで求められる構成になっていました。
特に以下の問題が注目です。
- 問208「オメプラゾール(従来と異なる切り口)」
- 問211「セリンプロテアーゼとビルダグリプチンの反応部位」
- 問213「ロラタジンのCYPによる代謝と副生成物の特定」
出題の3つの特徴
1. 「問い方のひねり」が増え、単純暗記では通用しない
王道テーマからの出題であっても、切り口を変えて深い理解を問う問題が増えています。
過去問の正誤確認だけでは対応しにくく、「なぜそうなるのか」まで説明できる理解が必要です。
2. 医薬品の性質・作用が細かく問われる
問106、問211、問213のように、医薬品の構造を起点として、作用機序・反応性・代謝過程まで横断的に問う問題が出題されています。
化学の知識を、衛生・薬理・薬剤などの知識と結びつけて理解することが重要です。
3. 生薬・写真問題など、新形式も登場している
問110では、顕微鏡写真と問題文の両方から生薬末を特定する問題が出題されました。
従来の化学の枠を超えた出題形式であり、幅広い対応力が求められます。
合格点を超えるための勉強戦略
化学は、「王道を確実に取る力」を最優先にしつつ、その上で応用力を積み上げていく学習が効果的です。
① まず王道テーマを確実に取り切る
酸塩基、立体化学、芳香族性、骨格名、基礎的な有機反応などの王道テーマは、絶対に落とさないことが大切です。
まずはここを固めることが、得点の土台になります。
② 過去問演習は「説明できる」まで掘り下げる
正誤確認だけで終わらせず、
- 生成物の作り方
- 反応機構
- 反応性
- 配向性
など、「なぜそうなるか」を説明できる状態まで持っていくことが重要です。
参考書で理解したら、すぐ問題を解いて知識の使い方を身につけましょう。
③ 医薬品化学は「既出医薬品の深い理解」を優先する
新傾向問題も出題されますが、まず優先すべきは、過去に出題された医薬品を深く理解することです。
特に、
- 骨格や官能基の性質
- 作用機序と有機反応の関わり
- プロドラッグの活性化反応の機構
まで掘り下げて整理しておくことが重要です。
衛生・薬理・薬剤との知識連携も意識しましょう。
④ 新傾向問題は「正解を狙う」より「失点を防ぐ」
問110のような高難度の新傾向問題は、多くの受験生が苦手とする問題です。
無理に正解を狙うよりも、他の取れる問題を確実に取ることが、結果として有利になります。
注意したいポイント
化学は、知識量そのものよりも、理解の深さで差がつく科目です。
第112回でも、深い理解、応用力、科目横断の視点が問われる可能性が高いと考えられます。
「覚える」だけでなく、「説明できる」学習を意識して進めましょう。
いつ・何を勉強する?
化学は、他の科目より早めに着手する受験生が多い科目です。
参考書を読むだけでは問題が解けるようにならないため、理解したらすぐ問題を解くことが重要です。
4〜6月
- 化学の基礎(酸塩基・立体化学・芳香族性・骨格名・基礎的な有機反応)を参考書で理解する
- 理解したらすぐ過去問を解く
- 「参考書で理解 → 問題演習」のサイクルを繰り返す
6〜8月
- 生体分子・医薬品の化学など、他科目(生物・衛生・薬理・薬剤)とつながりの深い内容を学習する
- 化学の基礎知識との関わりを意識しながら学ぶ
- 起こっている反応、作用点となる部分構造、プロドラッグの活性化反応なども深掘りする
9月以降
- 他科目、特に医療系科目の学習が中心になる時期
- 化学は忘れない程度に、定期的な問題演習を続けて知識の維持を図る
直前期
- 王道テーマの最終確認
- 弱点の潰し込み
- 受験した模擬試験を見直し、新傾向の医薬品情報も再確認する
今日からできる3つのアクション
- 過去問の理論問題を1題解き、正誤確認だけでなく「なぜそうなるか」を紙に書いて説明してみる
- 頻出医薬品を1つ選び、「骨格名・官能基・作用機序・代謝経路」を紙にまとめてみる
- 苦手な反応タイプ(求電子置換・求核アシル置換など)を1つ選び、反応や生成物を書いてみる
まとめ
化学は難しい科目ですが、王道を確実に取ることだけでも大きな差につながります。
そのうえで、理解の深さと応用力を積み上げ、第112回薬剤師国家試験に備えましょう。

