【速報】薬局1店舗あたり最大23万円支給へ|令和7年度補正予算の「実利」と「条件」を徹底解説
はじめに
2025年11月28日、政府は総合経済対策の裏付けとなる令和7年度補正予算案を閣議決定しました。今回の発表で、薬局経営者にとって最もインパクトがあるのは、抽象的な支援策ではなく、明確な金額が示された「医療機関・薬局における賃上げ・物価上昇に対する支援」です。
総額5,341億円規模の支援パッケージの中で、薬局に対して具体的にどのような現金給付が予定されているのか。本記事では、メディセレメディア読者の皆様に向け、発表されたばかりの一次情報に基づき、支給額の区分と実務上の注意点を速報します。
1. 【事実認定】支給額は「法人規模」で決まる
今回の支援金は、一律ではありません。法人の規模(店舗数)に応じた傾斜配分が採用されています。 厚生労働省の発表資料に基づく支給額の内訳は以下の通りです。
薬局1施設あたりの支援額(予定)
支援金は「賃上げ支援分」と「物価高騰対応分」の合算となります。
① 5店舗以下の法人
- 賃上げ支援分:14.5万円
- 物価高騰分 : 8.5万円
- 合計:23.0万円
② 6店舗~19店舗の法人
- 賃上げ支援分:10.5万円
- 物価高騰分 : 7.5万円
- 合計:18.0万円
③ 20店舗以上の法人
- (現時点での詳細な金額区分については要確認ですが、上記より減額、あるいは支援対象外となる可能性も含め、公募要領の確認が必須です)
【経営判断のポイント】
小規模事業者ほど手厚い設計となっており、地域密着型の薬局を存続させる意図が明確です。自社がどの区分に該当するか、グループ法人を含めた「同一法人」の定義がどう適用されるかが、最初の確認事項となります。
2. 「賃上げ支援」のリスク管理
ここで注意を喚起したいのは、この金銭が「賃上げ支援」という名目で交付される点です。
過去の補助金(医療従事者慰労金等)の例を見ても、国は「使途」に対して事後確認を行う権限を持っています。今回の「賃上げ分(14.5万円等)」を受け取る以上、以下のリスクを管理する必要があります。
- 賃上げ実績との整合性
実際に職員のベースアップや一時金支給に充てたか、あるいは既に実施した賃上げの補填として説明がつくか。 - 証憑書類の整備
「貰い得」はありません。受給後に会計検査院等の指摘を受けた際、給与台帳や就業規則の改定履歴で正当性を主張できるよう、今から準備が必要です。
3. その他の重要項目(医療DX・安定供給)
現金給付以外にも、以下の予算が計上されています。
- 医療DXの推進(290億円)
全国医療情報プラットフォームや電子処方箋の普及・活用に向けた予算です。これはシステムベンダー経由の補助や、マイナ保険証利用率に関わる支援金等の原資となります。 - 医薬品の安定供給(後発品支援など)
後発医薬品の産業構造改革に関連し、安定供給を担う企業やスキームへの支援が含まれます。薬局実務としては、地域連携による備蓄融通などが引き続き評価される流れです。
4.今すぐ行うべきアクション
補正予算は成立後、速やかに執行されます。以下の3点を指示出ししてください。
- 自社店舗数の確認
申請区分(5店舗以下か否か)を確定させる。 - 賃金台帳のシミュレーション
今回の支援金を原資として、いつ、誰に、どのような形で還元するか(または既に上がったコストに充当するか)の方針決定。 - 情報収集の継続
「予算成立後の公募要領」が全てです。厚生労働省のWebサイトを定点観測し、申請期限を逃さないようにしてください。
結びに
今回の補正予算は、物価高と人件費高騰に苦しむ薬局への「輸血」措置と言えます。
しかし、公金には必ず責任が伴います。
正確な事実認定に基づき、リスクのない形で最大限の権利を行使してください。
詳細な申請フローが判明次第、当メディアでも追って解説します。
(参考資料:令和7年度厚生労働省補正予算案の概要)

