【薬学生必見】国家試験や実習が激変?これからの時代を勝ち抜くための「3つの大変化」と対策を徹底解説
薬学生のみなさん、こんにちは。メディセレしゃっちょうの児島惠美子です。
今、薬学教育はこれまでにない激動のなかにあります。
令和8年2月16日に開催された「第25回新薬剤師養成問題懇談会」の資料を読み解くと、これからの皆さんに求められるハードルと、それを乗り越えた先の明るい展望が見えてきました。
正直な現実をお話しすると、現在の薬学部における「標準修業年限内(6年間)での国家試験合格率」の平均は58.8%にとどまっています(文部科学省資料より)。
また、私立大学の約4割が定員割れを起こすなど、薬学部を取り巻く環境はシビアです。
しかし、だからこそ「質の高い薬剤師」の価値はかつてないほど高まっています。
変化を恐れる必要はありません。
制度が変わる背景を理解し、先手を打つことで、あなた自身のキャリアをより輝かせることができるのです。
ポイント①:薬剤師国家試験が令和11年度からリニューアル!
厚生労働省は、令和11年度(第115回試験)から、薬剤師国家試験の新しい「基本方針」を適用する予定です。
背景には、薬学共用試験(CBT)の全国平均点が75.9%と高水準である一方で、現場での実践能力にばらつきがあるという課題があります。
これからの国試は、単なる知識の確認ではなく「臨床現場でどう動くか」がより厳しく問われます。
国家試験の主な変更点
| 項目 | 現行制度(~令和10年度) | 令和11年度以降(新方針) |
| 科目構成 | 物理・化学・生物・衛生など細分化された科目 | 5科目への統合(より横断的な知識を重視) |
| 問題の方向性 | 知識の暗記を確認する問題 | 基礎と臨床を繋げた実践的な判断力を問う |
| 評価の狙い | 領域ごとの習得度 | 現場で活用できる「統合的な思考力」の評価 |
勉強方法のアドバイス:基礎知識の「点」を「線」で繋ごう
- 「低学年の基礎」を疎かにしない: 5科目に統合されることで、物理や化学がどのように薬物治療(臨床)に結びつくかが重視されます。
- 「なぜ?」の深掘りを習慣に: CBTの平均点が高い今の時代、単純な正解率だけでは差別化できません。機序を理解し、副作用の予測や多剤併用(ポリファーマシー)の解決へ繋げる思考を磨きましょう。
- 現場をイメージした学習: 過去問を解く際も、「この知識は病棟で医師にどう提案するか?」「患者さんにどう説明するか?」と変換して考える癖をつけましょう。
ポイント②:実習がさらに進化!新設される「薬学実践実習」の全貌
現在、必修となっている22週間の実務実習の「後」に、さらに高度な体験ができる「薬学実践実習(アドバンスト実習)」が導入されます(令和7年2月方針)。
これは単なる実習の延長ではなく、皆さんの多様なキャリアを強力に後押しするものです。
「薬学実践実習」の重要ポイント
- 「22週+8週間」の選択制: 22週間の基本実習をクリアした学生が、さらに専門性を深めるために8週間程度(1週間=1ユニット)を目標に実施されます。
- 多岐にわたるキャリアパス: 病院や薬局での高度な臨床体験はもちろん、以下のようなフィールドが想定されています。
- 行政・公的機関: PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)や地方自治体での薬務行政。
- 高度な臨床: 漢方相談薬局、災害医療対応、海外研修、高度ながん治療チームへの参画。
- 研究: 臨床現場の課題を解決するためのエビデンス創出(臨床研究)。
- インターンシップとの違い: これはあくまで「教育」の一環です。採用活動(リクルート)とは明確に区別して実施されることがガイドライン(Material 3 I-4)で保証されています。純粋に「学びたい」という意欲が尊重される場です。
現在の医療現場では、薬剤師から他の職種へ業務を移管する「タスクシフト/シェア」や、多剤併用(ポリファーマシー)の適正化が急務です。この実習で得た経験は、就職後に即戦力として活躍する大きな武器になるはずです。
ポイント③:地域で活躍する薬剤師を強力サポート!「地域枠」と奨学金
現在、薬剤師の配置には偏り(偏在)があり、薬局には約60%、病院には約19.2%と偏っているほか、地域による不足も深刻です。
これを解消するため、文部科学省は大学設置において「薬学部の新設抑制」という厳しい方針を打ち出していますが、「地域枠」の設定についてはその例外として認められています。
地域医療のリーダーへの追い風
- 「地域枠」と経済的支援: 地方自治体と大学が連携し、将来その地域で働く意欲のある学生を対象にした入学枠や奨学金制度が拡充されています。
- 卒後のキャリア形成: 奨学金だけでなく、卒業後も地域医療のリーダーとして活躍できるよう、自治体による継続的なキャリアサポートが受けられます。
先輩からの視点: 「地方は大変そう」と思うかもしれませんが、実は地方こそ薬剤師の職能が最大限に発揮される場所です。医師の働き方改革が進むなか、地域医療を支える薬剤師への期待は非常に高く、やりがいは抜群です。経済的な支援を味方につけ、地域に不可欠なプロフェッショナルを目指すのは、賢い選択肢の一つですよ。
まとめ:変化を味方につけて、理想の薬剤師を目指そう
薬学教育の改革は、一見すると厳しく見えるかもしれません。しかし、その本質は「薬剤師をより高度で、社会から必要とされる専門職に引き上げる」ことにあります。
- 国家試験: 暗記ではなく、現場で通用する思考力を問う。
- 実習: PMDAや企業、高度臨床など、あなたの夢に合わせたオーダーメイドの学修へ。
- 地域貢献: 地域枠という「守られたルート」でのキャリア形成。
これからの時代、「情報を知っていること」があなたの最大の武器になります。制度が変わるからこそ、早くから準備を始めた人が勝てるのです。
不安になったときは、いつでもメディセレまで聞きにきてください。一緒に、新しい時代の薬剤師像を創っていきましょう!
令和11年から国試が変わる件は、以下の記事にも書いておりますのでご参照ください。
【用語解説】
- 新薬剤師養成問題懇談会: 厚生労働省、文部科学省、薬剤師会、大学代表などが集まり、これからの薬剤師の育て方を決める重要な会議。
- PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構): 薬の審査や安全対策を行う国の機関。薬学実践実習の新たなフィールドの一つ。
- 薬学実践実習: 必修の22週間実習後に、学生が自分の進路に合わせて選択できる、より専門性の高い追加実習。
- 地域枠: 特定の地域での医療に従事することを条件にした選抜枠。奨学金支援などが充実していることが多い。
- ポリファーマシー: 多くの薬を服用することで副作用が増えたり、適切に飲めなくなったりする問題。これからの薬剤師が解決すべき大きな課題。
【出典元】第25回 新薬剤師養成問題懇談会資料(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shiryo_260216.html

